2012年1月4日水曜日

グランド・ブルテーシュ奇譚。

バルザックの短編小説「グランド・ブルテーシュ奇譚」は本当によくできた小説だ。これって、国語の教科書で取り上げたりして欲しいよなぁ。
内容はこうだ。古い洋館に興味を持った旅の男が、たびたびそこに足を運んで観察していたところ、男の滞在先である宿屋に公証人が現れる。
「この洋館に近づいてはなりません!」と言う。そんなことを言われると何故なのか、余計に気になる気になる。
で、公証人が帰ったあとに彼は独自の調査を始める。
この洋館の最後の主は、年老いた貴婦人であった。富も名声も勝ち得た彼女には年長の夫がいて、正直、セックスで満たされていない生活を、かつて送っていた。あるとき毎週水曜日に開かれている屋敷でのパーティーで、彼女は若いスペイン人の貴族の男を見初めた。ほどなく2人は恋仲になる。
そのことを訝った老主人は、あるとき、洋館にイレギュラーな時間を選んで帰ってみたところ、夫人の部屋のある2階に夫人ともう1人の気配が…。ドタドタと2階に上がってみると夫人が不自然な笑みを浮かべている。
「その納戸に誰かいるのだろ!」。
「いいえ、十字架にかけて、そんなことはありません。誰もいません」と夫人。
老主人は、その日のうちに腕の良い大工を呼び寄せ、その納戸を塗り壁で覆ってしまい、ご丁寧なことにその部屋を長らく離れなかったばかりか、召使いにその納戸を見張らせたのだ。
もちろん、その中にはスペイン人の貴族の男がいて、息も絶え絶えだったことは想像に難くない。
何日か後で「死にかけている人を助けてください!」と夫人は嘆願した。
しかし、老主人は冷淡に、こう言い放った。
「あそこには誰もいないと、きみは十字架にかけて誓ったではないか…」と。
程なくして、老主人は死に、未亡人となった夫人もスピーディーに衰弱していった。そして、死ぬ間際に、くだんの公証人に遺言をしたためたのだ。

私の死後、50年間はこの洋館の原型を留めるように。小さな箇所の改築も禁じます。
敷地内、建物の内部に侵入しようとする者は、排除しなさい。そのための護衛を雇う資金を支払うことに糸目はつけないで欲しい。

うーん。

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